今日も漫画日和♪

BL作品をメインに綴ってます……

【BL感想】『いろいろつれづれ ~推しの恋~』(草間さかえ・著/大洋図書)

「推し」が誰かと恋に落ちたら…

前回に引き続き、草間さかえ先生のコミックエッセイ、『いろいろつれづれ』の感想です。(前回って、すでに2ヵ月半以上も前の話ですが……💦)
★『いろいろつれづれ』★

いろいろつれづれ|ビーズガーデン bʼs-garden|HertZ&CRAFT&SHY公式サイト

今回は、前回、「次回に持ち越しで~」となってしまったCRAFT・100号掲載の『いろいろつれづれ ~推しの恋~』について。

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このサブタイトルにある「推し」とは、前回の私が推しまくったトーミ君です。
義昭くんへの積年の片想いがようやく実ったらしく、なんと「酔ったときには、少し恋バナもしてくれる」のだそうです。

そう解説してくれるのが、トーミくんを「推し」とあがめる同僚女子たち。
『いろいろつれづれ ~推しの恋~』は、彼女たちがオフィスの休憩スペースで、トーミくんの現在進行形の「恋」について語り合う3ページほどの超短編なのですが、彼女たちの会話がめちゃめちゃ痛快なのです!

彼女たちの、推しの「恋バナ」トークを読んでいると、自分がBLにハマっている理由を改めて納得させてくれる感じがして、読むたびにニマニマしています(たった3ページの漫画なのに、ここまで何度も読み返したくなる作品をつくれる草間先生は、やっぱりすごいな~)。

「推し」という言葉については、いろいろな方がさまざまに定義されていますが、私の中では、その対象を「応援する」とか「成長を見守る」とか「敵から守る」といった要素が強いのかなって感じています。対象に対する母性とか父性みたい感情というか…。
(「ファン」の感情は、もう少し恋愛寄りな気が……)

ここに登場する同僚女子たちの、トーミくんへのスタンスは、まさにそんな感じ。
とにかくトーミくんが幸せになってくれることが第一で、だからこそ、新しくできたカレシが、「可愛いだけの性悪男だったら私泣くよ」だし、そいつの「思いつきに弄ばれないでTさん!」と心配で仕方がない(「」内のセリフはすべてbyキツネちゃん。それと、「Tさん=トーミくん」です)。

そして、彼女たちの会話の中で義昭君は、あくまでもカッコつきの「友達」で、「Tさんのカレシ」とはまだ認められていないようなのですが、面白いことに義昭くんへ嫉妬の感情はあまり見られない。

だから、なんか会話もカラッとしていて、そこには「私たちからTさんを奪ったそいつが憎い~~~!!!」みたいなドロドロ~っとした雰囲気が感じられないのです。

トーミくんが「異性愛者」で、恋愛相手が「女性」だったら、こうはいかないんじゃないかな。
トーミくんの幸せ云々より、相手の女性のほうに意識が向き、「カノジョ」に対する羨ましさや、妬ましさが先行するのかな~って。
(「推し」の場合、恋愛的な感情が少なさそうとはいえ、推しの「熱愛発覚!」みたいな記事を目にしたら、それなりにガーンってきそうだし…。←これは私の場合ですが…)
それで、推し活仲間たちと、「なんで、あんな女がいいの? キーッ💢」と盛り上がったりも…あり得そう。
さらに、その「カノジョ」が、女子に嫌われやすいタイプだった場合には、「Tさんも、結局、つまんない男だったんだよね」と、今度はトーミくんへのアンチ感につながり、「推し活の会」も自然消滅……なんてことも起こり得るかも。

ところが、トーミくんの場合、「同性愛者」で、恋の相手は「男性」。
「女性」に対するほど敵意がわかないのか、彼女たちはトーミくんの恋の相手に対して、それほど攻撃的にはなっていない。
それどころか、たまたま駅でトーミくんと義昭くんがいる場面に遭遇してしまった黒猫ちゃんは、ひたすら「Tさんの恋の相手」がいかにカッコいいかを語り出すのです。
「スマートだけどキリッとした中に甘さもあって/女慣れしてそうだけ爽やかだから嫌味がない/大人のセクシーさもあるんだけど/Tさんとのやり取りでは男の子っぽいチャーミングさを 醸し出してた…」
…ってな具合。
ディスるどころか、ほめちぎり!
どんなだけイイ男んだ!って感じです。

聞いてたほかのメンバーたちも、「食レポかい!」(byトリさん)とか、「ブラボー 男ソムリエ…」(byアリクイ?さん)なんてツッコみならが、すっかり応援モード。
「うまく行ってほしい」「応援するぞっ」「頑張れTさん!」と、2人の恋への熱いエールでこの作品は締めくくられるのです。

私がBLにハマっている理由の1つって、まさにこのスタンスが取れるからかも…とか思っているわけでして…。
つまり、「推し」の恋愛相手に対するネガティブな感情とほぼ無縁で、それどころか2人が幸せになることを心の底から応援できるってスタンス。

こうして私はBLの沼にはまる……

実際、男女の恋愛を扱った漫画や小説だと、推しキャラ(男性)が、自分には相容れないタイプの女性とくっついたりすると、「そうじゃないだろう……」とツッコみたくたくなりますからね、私は。
場合によっては、その漫画や小説を読まなくなる…なんてことも、昔はあったなぁ…。
まあ、そういう作品に遭遇するのはごくごく稀ですが、それでも男女モノだと、私の場合、ネガティブな感情のノイズが入りやすい。
自分にとっての「リアル」に近い分、余計に、リアルで感じている自分のコンプレックスみたいなのものが刺激されるんですかね…。

一方、BLの場合、そうした感情に邪魔されることがあまりないんです。
どこか「傍観者」的なスタンスで、主役の2人が、それこそもどかしいやり取りをいろいろ繰返しながら結ばれていくプロセスを、まじりけなしに楽しんでいる。
ラブストーリーそのものを純粋に堪能できる、というのかな~。
そして、読み進めていくうちに、たいてい「傍観」から「応援」のスタンスになっています。

しかも、BLの場合、主役級で出てくる男子は、たいがいイイ男。
そのイイ男同士が攻・受でツートップの主役を張ってくれて、さらに恋愛までしてくれる。一粒で何度おいしいのよ~って感じです。
そして、私はますますBLの沼にハマっていくばかり……。

『いろいろつれづれ ~推しの恋~』で女の子たちが繰り広げる、推しの「恋バナ」トークを読みながら、そんなことをつらつらと考えていたわけです。

あと、これは余談ですが……。
「私がBLをやめられない理由」には、「登場人物たちが、私が妄想する『これぞ男子!』って会話をしながらじゃれ合ってくれるというのが大好物♪」というのもありまして…。
どういう会話かというと…、他愛もない(ときにはアホっぽい)ネタで、ポンポンとテンポよく、言葉のキャッチボールをしてくれるってやつです。

先述の黒猫ちゃんによる「Tさんの恋の相手」報告にも、トーミくんとのやり取りで義昭くんが「男の子っぽいチャーミングさ」を醸し出していった、というのがありましたが、これですよ、これ。
たぶん、私のめちゃめちゃツボのやり取りをしてくれていたんだろうな~。
(2人のやり取りを目の前にした黒猫ちゃんも、頭のまわりにキラキラを飛ばしながら、フルフル震えてましたから…)

さらに言えば、コトの最中や、その後のピロートークでのそういうノリの会話をしてくれた日には、「〇〇先生、本当にありがとうございます!」と、気持ちが上がりまくりです!
「いってーーッ!! てめぇ、ソレ、ワザとやってんだろう!」「えっ? あっ、わりぃ」みたいなノリで、時にはコントのように、時には格闘技のように、愛し合うって感じのやつ。
逆に、「好き」や「愛している」のセリフ連発で、背景もポエムしているって感じのラブシーンは、ちょっと苦手で…。
(AVっぽい言葉攻めが延々と続くのも、場合によっては苦手かな…)

草間先生の描くラブシーンって、そういう「男の子っぽい」って感じのものが多くて、それも私が草間先生ファンの理由の1つだったりします。
(描写そのものは、かなりリアルなのに、超絶エロ系が微妙に苦手な私でも、「これ、いいわ~!💖」となるのは、そのせい?)

なので、今度はぜひぜひ、トーミくんと義昭くんの現在進行形の恋愛模様(含む・Hシーン)を、男の子っぽいチャーミングなやり取り満載で描いてくださらかな~と、切に願っております。m(__)m